令和元年(2019年)10月に自動車整備技術の高度化検討会-特定整備制度の方向性-中間とりまとめ(案)が発表されました。
道路運送車両法改正案の中の特定整備の内容が中間とりまとめとして具体的になってきた部分がでてきましたので解説をしていきたいと思います。
整備士歴10年以上の一級整備士がかみくだいて解説します。
過去の閣議決定の内容解説は下記の記事で自分なりに説明を行っているのでそちらもご覧ください。
試問(試験)についてはこちらの記事にまとめてあります。
法律に関することなのでどうしても文言が難しくなるので今回は私が必要だと思うことを抜粋して自分の言葉で解説をしていきたいと思います。もし解釈の違いなどがあればコメントでご指摘をお願い致します。
※追記
令和2年2月に特定整備制度説明会があり新たに分かった項目を追記しておきます。
説明会の内容をまとめた記事も下記にリンクを載せておきますのでそちらもご確認ください
特定整備の対象とすべき作業
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概要としては
・自動運行装置の取り外しや作動に影響を及ぼすおそれがあるもの
・整備又は改造、衝突被害軽減制動制御装置及び自動命令型操舵機能に係るもの
具体的には
・前方の単眼・複眼のカメラ、ミリ波レーダー及び赤外線レーザーの取り外し又は機能調整(ECUの機能調整を含む。)
・カメラ、レーダー等の取り付けられている車体前部(バンパ、グリル)、窓ガラスを脱着する行為
まとめると衝突被害軽減制動制御装置(いわゆる自動ブレーキ装置)がついているカメラ、レーダー、バンパー、グリル、ガラスの脱着を行った際はエーミング作業を実施するように規定
そして今後、対象になりようなものがでてきたらそのとき検討しましょう
とのことです。
これを読み解くに自動ブレーキ搭載車のバンパーやグリル脱着が特定認証をうけたお店でないと行えなくなるということになります。
ちょっとしたグリルを取り外す作業も縛られるとなるとこれはつらいですね^^;
エーミング機能の整理
エーミングを行うにあたって現在3種類のパターンがあります。
1、静的エーミング
自動車の前方等に仮想目標物(ターゲット)を設置し、車両を正確に正対させた状態で、スキャンツールを操作し、ターゲットの認識状態を確認しながら、カメラやレーダーの調整を行う手法
2、動的エーミング
一定の条件下で自動車を走行させることで、自動的にカメラやレーダーを調整する手法
3、静的エーミング+動的エーミング併用
1、の静的エーミングと2、の動的エーミングの両方を行うパターン
この中で2、の動的エーミングのみは特定認証の対象外となります(カメラを交換した場合を除く)
エーミング対象車両の中でもエーミングの作業方法によっては対象外になったりするので現状かなりややこしいですね^^;
認証の設備
特定認証を取得する際に必要な工場の設備にも言及がありました。
全ての車種のエーミング作業を行える設備や広さは必要ないそうです。
具体的な設備に必要な要件を簡単にまとめると・・
2、作業完了車や整備待ちの車両置き場
3、平滑の確認できる工具、水準器保有
4、スキャンツールの保有
5、エーミング作業に必要なターゲット等の専用器具は認証要件には入らないが専用器具や情報を入手する方法の確認がとれればOKとなるそうです。
1、のエーミング作業上の敷地面積に関しては表がありますので引用させていただきましたので合わせて確認をお願い致します。
エーミング作業に数十メートル 必要な車種もあることから敷地面積の小さな工場は特定認証を取得できないのか。
全てのターゲットなどの専用器具を揃えなければならないのか。
といった不安を解消してくれる内容でした。
従業員の基準
特定認証を取得する際の従業員の基準をまとめます。
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工員数
2人以上
自動車整備士の最低要件
もしくは
・2級自動車整備士、自動車電気装置整備士、自動車車体整備士のいずれかの資格を保有している者が、国土交通大臣が定めた一定の基準を満足している講習を受講し、一定の技術を習得した者が工員に一人はいること。
(整備主任者の資格要件も整備士の最低要件と同じになります)
令和2年2月の説明会により講習の内容が具体的になりました。
講習内容は学科、実習の2項目とし、学科と実習を受講した後、試問(試験)に合格すると主任者として選任が可能となります。
試問に関しては正答80%以上で合格となるそうです。
もし不合格になってしまった場合もう一度試問を受けることができ、そこでも落ちてしまうともう一度、学科、実習の講習を受けなければならないそうです。
試験に関する記事はこちらからどうぞ
自動車整備士保有割合
自動車整備士の割合については、従業員の1/4以上となります。
(1級自動車整備士、2級自動車整備士、3級自動車整備士、自動車電気装置整備士、自動車車体整備士/全
整備要員)
点検基準の見直し
その他の点検箇所に「OBD の診断の状態」を追加する
大型特殊自動車、被牽引自動車、二輪自動車を除いた自動車に適用する
1年ごとの点検とする
点検は原動機(異常)の警告灯、制動装置(異常)の警告灯、アンチロックブレーキシステム(異常)の警告灯、前方のエアバッグ(異常)の警告灯及び側方のエアバッグ(異常)の警告灯並びに衝突被害軽減制動制御装置
経過措置
自動車特定整備事業の認証にかかる経過措置改正法の施行の際、現に電子制御装置整備(分解整備を除く特定整備事業)に相当する事業を経営している整備事業者においては、法施行日から起算して4年を経過する日までの間は、認証を受けるために準備期間として、引き続き、当該事業を経営すること28ができる旨の経過措置が規定されている。
新たな特定認証の内容においては、法施行日から起算して4年を経過する日までの間は、認証を受けるために準備期間として、引き続き、当該事業を経営することができる旨の経過措置が規定されている。
経過措置の定義についても説明会にて回答がありました。
なにか電子制御装置整備(分解整備を除く特定整備事業)の整備を行いました。と証明すものを提出などをする必要はないそうです。ある意味自主判断で行ったことがあれば4年の経過措置はもらえるという説明をうけました。
まとめ
以上が私が抜粋した特定整備制度の中間とりまとめの解説でした。
現在はすでに施工されておる制度ですが概要など把握していない方も見受けられることが多々あるので参考にしていただければ幸いです。
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